静岡の地酒

君盃酒造

君盃酒造

 静岡の市街地から旧東海道(県道208号)沿いに安倍川を渡って西に約300メートルいったところにある酒蔵です。安倍川の伏流水豊かな地で、その井戸水を仕込み水に使っています。
 蔵の始まりは江戸時代に遡るようですが、はっきりとは分かりません。現在の会社の創業は昭和25年(1950)、企業合同が解除された際になりますが、このとき戦災に遭わずに残った蔵はここだけだったそうです。

社長親子2人で醸す酒

 多くの酒蔵は杜氏を招いて酒造りをします。しかし、君盃酒造の場合は平成8年に、今まできていた杜氏が辞めてしまったため、翌平成9年から社長親子2人で杜氏も兼ねた酒造りをはじめました。はじめは試行錯誤はあったようですが、2人の「やさしい味」をモットーにした酒造りは、平成11年は静岡県、平成12・13年は名古屋国税局の新酒鑑評会で入賞、さらに平成16年は全国新種鑑評会で金賞を受賞することで評価されています。

M310酵母

 新しい酒造りをはじめるに当たって突破口となったのがが酵母。「名酒ひしめく静岡県において、親子二人の小さな蔵元が、他の蔵元と同じ酵母を使っていては勝機はない。あえて違う酵母を使うことで、君盃ならではの新しい酒が作れると感じた。」との言葉通り静岡酵母は使わず、茨城のM310酵母(ちなみに310とは水戸のこと)など、静岡の酒蔵ではあまり使われない酵母を使っているとのことです。

小ロット多品種の商品作り

 もう一つのこだわりは、小規模酒蔵の特徴を逆手にとって、小ロットで多様な商品を出荷していることです。とくに原酒の貯蔵の仕方を変えることで味に変化をつけ、季節ごとに違った魅力を持つ商品として出荷しています。また、それらの商品はラベルにもこだわりを持って作っています。